Internet Explorer サポート終了に寄せて
ネットアシスト開発部のykinjoです。今回は2022年 6月 15日についにMicrosoft社によるサポートが終了する Internet Explorer (IE、IE11)について状況と今後を説明しようと思います。
Microsoft 社 Internet Explorer のサポート終了について
IPAによる解説
Windows 10 リリースに伴う標準Webブラウザとしての終了
ながらくWindowsの標準Webブラウザーとして君臨し、Web制作者らからは他Webブラウザに比べ最新仕様(CSSやJavaScriptなど)への対応が遅い・不適切な実装が有るなど批判を受けながらも少しずつ少しずつ一応の改善を見せてきた Internet Explorer も、2015年のWindows 10 リリースと併せてリリースされた新たな標準ブラウザ Edge によって標準Webブラウザとしての立場を退きました。
その後はEdge側の改良が続き、リリース当初は機能不足な部分が多かったEdgeですが、今は内部で使われるエンジンがChromium(Google Chromeで使われているエンジンに相当)になり、最新のWebの仕様に適合し互換性やパフォーマンスの面でも問題のない仕上がりになっています。
一方で Internet Explorer は 2013年のWindows 8.1 とともに登場した IE11を最後に、細かな調整やセキュリティ上の修正は有りつつも改良がほぼ終了した状態が9年間続いています。
移行先のWebブラウザは?
ネットアシストとしてこのWebブラウザを推奨するというものは無いですが、2022年時点で最も高いシェアを有するGoogle Chrome、同等のエンジンを採用しつつWindows標準搭載のMicrosoft Edge、長い歴史が有りつつも今も積極的に改良の続くMozilla Firefox、macOSの標準搭載のSafariなど、IE以外の定番どころについてはいずれも現代的な仕様に対応するWebブラウザであるため移行先として適切かと思われます。
旧世代のWebアプリ対応は?
かつては「未だにIEにしか対応していない」とSNSなどで言及される事もあった銀行系や官公庁系のWebサイトも今はIEのみにしか対応していないサイトはかなり減りましたが、既に改良が止まった状態で長く使われている社内向けWebシステムなどで今もIEを必要とするケースが残されている場合が有ります。
先述のIPAでの解説にもありますが、Microsoft Edge には Internet Explorer モード(IEモード)が用意されており、それを利用することでいったんの急場をしのぐことが可能です。
Internet Explorer モードとは | Microsoft Docs
もっともこれはあくまで回避策であるため、そういったシステムを現代的なWebブラウザに対応する形に改修する方が、今後の事を考えると望ましいと思います。
より構築しやすくなるWebサイト・Webアプリ
長らく改良がストップし、サポート終了もアナウンスされていたことから既にIEのサポートを取りやめるWebサービスも以前より増えてきている状況ですが、今月をもってMicrosoft社自身によるサポートも終了するため今後は更にペースを増してIE非対応のサイトが増えていくことになると思われます。
これはWebサイト・Webアプリ制作サイドとしてもメリットが大きく、他のWebブラウザでは既に対応していたCSSの仕様やJavaScriptの仕様について、IEでも動作する汎用ライブラリの導入(DOM操作におけるjQuery、通信におけるAxiosなど)、IEでも新機能を動かせるようにする仕組みの導入(Promiseに対するポリフィルの導入など)や、IEでも動作する形式のJavaScriptへの変換(Babelでのトランスパイルなど)、ブラウザに読み込まれる前の段階でJavaScriptを取りまとめる仕組み(ES Modulesをブラウザで直接読み込むのではなくWebpackなどのモジュールバンドラを利用)などの各種配慮を減らしていくことが可能となります。
また、バージョン3からIE非対応となった Vue 3など、より新しいライブラリやフレームワークを積極的に導入していくことも可能になります。
こうしたIEへの配慮が今後不要となることでWebサイト・Webアプリ制作はより足枷の少ないものとなりそうです。