Amazon Linux 2022のサポート期間の仕組み、コードベース、注意点について
ネットアシスト開発部のykです。今回は AWS発の純正Linuxディストリビューションである Amazon Linux と Amazon Linux 2 に続いてリリースが予定される『Amazon Linux 2022』について、主にサポート期間の面について今現在の情報を解説したいと思います。なお、本稿をまとめている2022年1月11日現在、Amazon Linux 2022は正式リリース前となっており、今後仕様が変更となる可能性もあることにご留意ください。
Amazon Linux 2022のコードベース
OS上に導入するソフトウェアの互換性としては概ね Amazon Linux (1、無印)は RHEL (RedHat Enterprise Linux) 6 / CentOS 6 相当、Amazon Linux 2 においてはRHEL 7 / CentOS 7 相当として扱われることが多かった Amazon Linux ですが(※ 実際にはさまざまな部分で差異が有りカーネルバージョンも異なります)、Amazon Linux 2022 以降においては Fedora の成果物をコードベースとして一部の追加や変更が行われた物になっています。
Amazon Linux 2022 においては Fedora 35 を元に一部の追加や変更が行われたものになっています。RHEL 9 や CentOS Stream 9 については Fedora 34 をベースにしている事が発表されており、ここからもRHEL 8や9に対応するものではない事が分かります。
Amazon Linux 2022とそれ以降のサポート体系
Amazon Linux 2022 とそれ以降については2年ごとにメジャーリリース（2024、2026…）が行われ、それぞれのメジャーリリースについて2年間の標準サポート期間と、セキュリティ修正と重大なバグ修正のみ行われる3年間のメンテナンス期間が提供されます。Amazon Linux のコアになるパッケージのセキュリティ修正が行われる期間としては 2 + 3 = 5年間提供される形になります。
標準サポート期間においては3か月ごとに様々なバグやセキュリティ更新、新機能や新パッケージを含むマイナーリリースが提供されます。各マイナーバージョンについてはメジャーバージョンの末尾に数字が付与され、2022.0、2022.1、2022.3 … という形で管理されます。
なお、コアパッケージではないパッケージについては5年間のサポート期間ではなく個別のサポート期間が提供されます。こちらについてはコマンド上から確認ができるようになるようです。Amazon Linux 2022 の公式ガイドにその方法が記載されています。
# dnf supportinfo --pkg packagename
全てのパッケージについて5年間のサポート期間が有るわけではなく、あくまでOSのコア部分が5年間のサポートであることを認識しておく必要が有ります。例えばPHPなど言語パッケージについては5年間のサポートが提供されないものと思われます。
公式リポジトリに無いアプリケーションの導入
先述のように、今後のAmazon Linuxは特定の CentOS / RHEL バージョンに（大まかに）紐づくものではなく、 Fedora の特定バージョンと（一部の変更は有るものの）紐づく形になります。Amazon Linux 公式が提供するリポジトリには存在しないパッケージ・バージョンを導入する際においてはその辺りの事情が変わっている事に注意する必要が有ります。
まとめ
Amazon Linux 2022 以外にもUbuntu、UbuntuのLTSバージョン、RHEL、CentOS StreamなどそれぞれのLinuxディストリビューションではそれぞれ異なったリリース形態やサポート期間の仕組みが設けられており、OSコア部分のサポート期間と各種パッケージのサポート期間が同一ではないケースもあります。特に新しく構築するサーバー・クラウド環境についてはそれらの体系を把握しライフサイクルを考えておくことが必要になります。
参考
Amazon Linux release cadence – Amazon Linux 2022
amazonlinux/amazon-linux-2022: Amazon Linux 2022
※追記
2023年3月15日にAmazon Linux 2023という名称で正式リリースされました。
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2023/03/amazon-linux-2023/
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